『美味しいものを一番良い状態で食べさせたい』

からころも きつつなれにし つましあれば
    はるばる来ぬる 旅をしぞ思ふ
                 (在原業平・伊勢物語)
店内に揚げられたこの流麗なかな文字をじっと眺めていると、なにやら急にここに王朝の姫君が出現して来そうな幻覚にとらわれる。そういえば2階の部屋にも、輪島塗に蒔絵で池鯉鮒、杜若、東海道五十三次・宿場馬休めの図などが描かれた座敷机が置かれていたのを思いだしたが、これもこの家のこだわりなのだろうか。

知立市は、刈谷、安城、豊田のほぼ中心に位置し、今も交通の要衝となっている。周辺に国立大学や世界的な巨大自動車産業を控え、その占める位置は重い。今回の「吉寿司本店」は、こんな知立の駅の東、徒歩3分の線路沿いにある。

客筋もよく、カウンターの前では世界経済の話題から下世話の洒落ばなしまで、談論風発。なかなか賑やかだ。店のモットーは、「美味しいものを一番良い状態で食べる」ということで、養殖や生け簀ものが幅を利かせる昨今、天然ものへの強いこだわりを持つ。魚がどのような状態で獲られたか、即ち、魚を網で獲ったか手で釣ったかまで気にするという程の徹底ぶりだ。しかも、ネタは必ず客の注文を聞いてから捌く、というのだから生半可な頑固者ではない。徹底した職人気質である。

この時季、脂ののった鯖、北海道のウニ、口の中でとろけるような穴子、づけ、とろ等、何をとっても旨いものばかりだが、特に、とろを少し焙ったアブリが私には最高に贅沢で美味だった。

寿司に納得したら、しめはデザートと行こう。まず、季節に合わせたシャーベットを試してみては如何が?独自の香りと味がとても品よく爽やかだ。実際、言われて食べた殆どの男性がこの取り合わせにハマってしまうようだ。勿論、女性軍は言うに及ばず。

何はともあれ、この店は、年とともに益々味がよくなってくる店だとある人が言っていた。

(紹介文:n@go創刊号より転載)

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吉寿司 本店 愛知県知立市新富2-29
【TEL】 0566-81-0589
【FAX】 0566-81-3877
【E-Mail】 info@yoshizushi.jp
【営業時間】 11:00〜14:00 16:30〜22:00
【定休日】 火曜定休